「ち○こ、ちん○」と繰り返しながら
嫌味なく己の体験を赤裸々に披露しては笑いを取る。
そんなナイスなオバサン、岩井志麻子。
デビュー作「ぼっけぇ、きょうてぇ」しか読んでなかった
彼女の作品をなんとはなしに手に取ったのは
それがベトナムを舞台にした(正確には、ベトナムと日本と韓国)
官能に溢れた小説だったからか。
いや、たまたま偶然、大家さん一家がベトナムに行っていたからか。
ともあれ。
この独特の物語には、ときに生温く、ときに乾ききった風が吹く。
そんな世界がここにはある。
無邪気でいとおしいホーチミンの男、
少々潔癖さえうかがえる韓国の男、
そして、全てを受け入れるしかない東京の男。
彼らの間を行き来し、主人公が得るもの、失うもの。
本当に愛しているのは誰か。
一番大切に想うのは誰か。
己を絡め取るような渦巻く欲望と、穏やかな母性のせめぎ合い。
ねっとりと、漂うエロスとはこのこと。
読点をすべて排除した挑戦的文体がそのエロスを濃密に表現することを可能にしたのか。
それとも、彼女の才能ゆえか。
羨むか、感じ入るか、呆れるか、苛立つか。
さまざまな感情に揺さぶられる1冊。
タグ:楽園に酷似した男
【本の匂の最新記事】
してます!
テレビで、淡々とエロを語るところが
すごいなぁ。
『楽園―』、私も読むわ!
キャラは強烈なのに、作家としてはそれを感じさせない才能を発揮するから驚きです!
>元同居人
エロがエロくないトークと、艶やかにエロチックな作品。そのギャップに溜め息洩れるなぁ。
小説にも魅了されていますが
毎週木曜日に午後五時から東京MXテレビに
コメンテーターとして出演されていて
番組の性格上か自由奔放な意見やら
志摩子語録が飛び出てきて面白い番組ですよ。
新潮45の編集長さんも一緒にご出演で
めちゃくちゃ面白い一時間です。
小説もいいけど生トークも素敵!
残念ながら、それは京都では見られない番組ですねぇ。
とはいえ、確かに彼女のトークは
冴え渡っていて切り口が独特。
天は二物を与えまくるってことですよね(笑)