昨日、職員室にプリントを取りに来た生徒に
「せんせーがこないだ話してくれた詩人の人いるじゃないですか」と言われ
詩人? 詩人の話なんかしたっけ??と思っていたら
「ほら、女の人と一緒に本書いてるって」
「ああ、歌人ね!」
というやりとりがあって、どんだけ記憶おぼろげよ?と脱力しそうになってたら
「その人の本、お母さんが前から気になってたみたいで。
せんせーが面白いって言ってたって言ったら、買ってきてました」
なんて言われて、マジで?!と仰け反る。
「でも、あんたにはまだちょっと早いって言われました」と言うので
そこは「本の適正年齢について」熱く語っても角が立つため(笑)
「じゃあ、卒業して大学生にでもなったら借りて読んだらいいよ」と。
にしても、いろいろ吃驚させられる。
高校生の女の子は、家に帰ったらガッコーでの授業の話を親にするんか、とか。
それでお母さんが実際に本を買ったりするなんて、とか。
よその母親は娘が読む本が早いかどうか口を挟んだりするんやなぁ、とか。
振り返ってみれば……
物心ついたときには、子どものためにと世界の有名な物語の全集があって
(十五少年漂流記、にんじん、リア王、若草物語、赤毛のアン、などなど)
高校生の頃には、母の蔵書を勝手に読み漁っていたし
(三島由紀夫「鏡子の家」、ヘルマン・ヘッセ「車輪の下」、
芥川龍之介「或阿呆の一生」あたりが記憶に残っている)
本(マンガは除く)に関しては比較的、潤沢な投資をしてもらったので
気づけば読書は息をするくらい日常的なことだった。
あ、でもいま連鎖的に思い出したが、
「赤毛のアン」にハマってシリーズを読んでいたときに
そんな夢中になるほどの話か、と首を傾げられ
芥川に関しては「俺は偉い偉い言うてて鼻につく」と唾棄され
挙句の果てには「読み物としての旧約聖書」を薦められ……
意外と、親の意見って記憶に残ってるもんだわ。
ちなみに、生徒たちに薦めたのは
穂村弘が角田光代と共演している恋愛エッセイ「
異性」。
24の恋愛テーマについて、女と男の立場からあれこれ考察した
なかなか読み応えのあるユーモアあふれる一冊だ。
ワタシとしては、生徒たちが読んでも十分楽しいと思うのだが
年頃の娘さんを持つ母親からしてみれば、ちょっとおませな内容なのかも?
授業では、穂村弘が回転寿司屋の変容を通して
反アニミズム的エネルギーを考察する随想を教えていた。
そのついでに、著者に関しての詳しい説明をしていたというわけ。
個人的にも好きな歌人で、どちらかと言えば短歌よりもエッセイに魅かれる。
そういえば、以前、インターネットを介して親しくなった東京の友人から
サイン入りの「
絶叫委員会」を贈ってもらったことも。

そんなこんなを思い出しながら、
自分は彼らに「本の面白さ」を伝えたくて教壇に立っているのかもと考えた。
もっと本の世界に触れてみてはどうか、と伝えたい。
だから、余談が多い(笑)
回転寿司屋の話から、銀座久兵衛まで飛んだり、母校に回転寿司屋が出来た話したり。
そして、生徒らからは「お寿司食べたなる」と口々に言われる。
しめしめ。
今後ふとした拍子に回転寿司屋を見て、穂村弘を思い出し
何かのきっかけで本を手に取ることもあるかもしれない。
ほんの少しでも記憶に引っかかる授業が出来れば、上々だ。