2005年04月04日

『幸福な食卓』 瀬尾まいこ (講談社)


「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」
春休み最後の日、朝の食卓で父さんが言った。

冒頭を読み終えた時点で、本屋のレジに走った。
一章を読み終えた時点で、ここの主人に電話して買わせてしまった。
帯の文句なんてあんまり信用ならないが、今回は納得。
曰く
「こんなに読みやすいのに、濃密な読書体験」(福田和也)
ええ、その通り。

久々の収穫やなと思ってたら、つい最近、賞もとりました。
選考委員がそうそうたる顔ぶれで、いちいち納得の受賞かな。
お読みあそばせ。

札幌K
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2005年02月22日

『恋文日和』 ジョージ朝倉 (講談社 別冊フレンド)


 綴られた『ことば』は、なんてストレートに胸に届くんだろう。
 不器用でも、ちょっと乱暴でも、いいじゃない。
 『ことば』を武器に、愛してると語れ!
 いや、語ってるよ。叫んでるよ。

 そういう物語です、これ。
 ここんところ、熱烈に気に入っている漫画家のうちのひとり=ジョージ朝倉。
 なんていうか、痛々しいくらいの飾らなさが沁みるのよ。
 20歳も過ぎて、社会に出たら、中学生が主人公の学園モノなんて、正直しんどいこともある。「青さ」が空々しくて。でも、ジョージ朝倉の作品はどれも、その「青さ」をうらやんでしまう。思わず。極端ゆえの滑稽具合と、響く純粋のバランスがいいからかも。
 「恋文日和」は、映画化されてたりもする。好きな作品の映像化・舞台化は、ハズレが多いから、あんまり期待できんけど。モチーフとしてはおもしろいかな。

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2004年06月28日

『われ笑う、ゆえに我あり』 土屋賢二 (講談社)


 作者はお茶の水女子大学の教授で、哲学研究者。
 著者紹介には、「〜など矢つぎばやに世に問い、いずれも大好評のうちに売れ残った。在庫を増やす手腕には定評がある。目下、『土屋賢二著作全集八十巻』の執筆を断念中。」とある。これだけ読んでも惹かれるのに、献辞は「なお、本書に登場する人名、団体名などが実在のものと合致する場合、それはたんなる偶然ではないことをお断りしておきたい。」と〆られてるから、なおさら内容が気になってしまう、なんとも誘惑度の高いお笑い(?)本。
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2004年06月07日

『恋ノウタ LOVE SONGS WITH YOU つのる想い』 三枝克之 (角川文庫)



 君のこと想うと いてもたってもいられない
 身体(からだ)は確かに 地上(ここ)にあるのに
 ただ心だけが フワフワと あてどなく 宙をさまよう

 立ちて居て たどきも知らず 我が心 天つ空なり 土は踏めども(作者不詳)

 この本、『万葉集』の中から恋の歌をセレクトして、「ポップスのような歌詞の感覚」で訳されたもの。作者は『空の名前』『宙の名前』『色の名前』(三部作)の企画編集者。文庫版の帯には“万葉集って、カワイイ。”のキャッチ。ええ、そりゃもうカワイイですとも。ちなみにこの本の中で30ページくらいの写真を、大好きな写真家・石川奈都子さんが担当。そう、わたしのイチオシ!「なっちゃん」ですよ。
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2003年12月01日

『あらしのよるにシリーズ(全6巻)』 木村裕一/あべ弘士 (講談社)


 嵐の夜、山小屋で。そうとは知らず、出会わせたオオカミとヤギ。
 暗闇の中、お互いを仲間だと思い込みともだちになった二匹。そして、約束するのだ。「あしたまた会いましょう」と。
 喰うものと喰われるもの、さて、それからどうなる?!
 一冊目を読んだら、止まらなくなった絵本。一気に全巻読み切ってしまう切ない友情物語。クライマックスで泣きそうになるから、ひとりでこっそり読むのが無難(苦笑)
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2003年10月14日

『INTENSITY』 たけうちりうと (講談社ホワイトハート文庫)

 最近の本屋では耽美系などと分類される同性愛もの――いわゆる“やおい”に分類される本を、初めて読んだのは高校生のとき。改めて奥付を見てみると、初版発行は1994年。ちょうどそのころ。
 それからも飽きることなくそういうジャンルも読み漁っているが、読んでいる最中に泣いたのは、この本だけ。
手に取ったのは、第1回ホワイトハート大賞を受賞した作品やったから何となくって感じやったけど。このときの己れの気紛れと勘に感謝。あまりのツボさに、大学のゼミ発表の題材にしたくらい(笑)
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2003年10月06日

『いくつもの週末』 江國香織 (世界文化社)


 いちばん好きなエッセイ本。
 あとがきに「なにを書いてもいいと言ってくれた夫に感謝します」とあるように、夫との生活が物語のように綴られてる。
 一度読んだ本を読み返すことはあまりない(マンガは除く)中、これは本当に何度も読みたくなる。その度、いろんなことを考える。そのときどきの状況や心境によって。
 そして、江國香織らしさというか、独特の雰囲気はエッセイにも関わらず小説に負けず劣らず健在で、うれしくなる。そんな一冊。
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2003年09月29日

『蝶のかたみ』 福島次郎 (文芸春秋)


 著者は、三島由紀夫の書生をしていて、寵愛を受けていたと話題になった人。
 小説家の私生活で作品を語るのは危険やけど、でもやっぱりそれは物語に反映されると思うから。ついつい野次馬根性で買った本。
 表題作よりも併録の、芥川賞候補になった『バスタオル』が衝撃的!
 男と男の、ましてや教師と教え子の、生々しくて痛々しい純愛が胸に刺さる。
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2003年09月22日

『自然のことのは』 ネイチャープロ編集室 (幻冬舎)


 日本語って、ほんまに美しい……。 溜め息が漏れる一冊。 

「うそうそ時」っていつだか分かる?
「蛙の目借時」はどの季節だか知ってる?
「長月」の別名みっつ言える?
「潦(にわたずみ)」が何か想像できる?
「男は松 女は藤」の諺の意味は?
答えが知りたい人は本屋へGO!
もしくは、あたしにメールを。採点します(笑)
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2003年03月12日

『犬のことば辞典』 きたやまようこ/ポチ監修 (理論社)


“この辞典は、犬と人がことばをとおしてよりうまくりかいしあうためにつくられたもので、犬がまちがえやすいことば、にちじょうよくみみにすることばをちゅうしんにまとめてある。”
〔この辞典のとくちょう〕
 人は、子どもと大人ではことばのつかい方やかんじ方がちがうばあいがおおいので、この辞典ではひとつのことばを犬、子ども、大人というわけ方でまとめてみた。
 ただし大人であっても子どものようで、子どもであっても大人のような人もいるので、このてんちゅういがひつようである。

この本はかなりユニーク! 恐ろしく絵本好きの友人にプレゼントを探していたときに、とある漫画の中に登場しているのを見て、早速本屋に行った思い出が。絵本コーナーにあると思われるが、普段よく目にする絵本とは一味も二味も違ってて面白い。しかも、結構納得させられるしね。大きな図書館なら置いてあるかも。良ければ、ちょっと立ち読みでもしてみて。
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2003年02月15日

『月魚』 三浦しをん (角川書店)


“秘密を抱え、
 彼は彼に会いに行く。
 あの雑木林の向こう、
 古書店「無窮堂」まで。”
 この本、もちろん上記の帯のコピーにも惹かれたんやけど、何よりもばらりとめくった冒頭の文章が気に入って即買いしたん。
“その細い道の先に、オレンジ色の明かりが灯った。
 古書店「無窮堂」の外灯だ。瀬名垣太一は立ち止まり、煙草に火をつけた。
 夕闇が迫っている。”
 このあたり。ふっと映像が頭を支配するやん? 物語を読むって、そういうことやと思うから。
 「水の底には秘密が沈んでいるのです。」っていうあとがきの言葉を、実感してみてほしい一冊。

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